ヒトの進化は太陽との闘い
陸に上がったヒトの敵は体温
人の祖先は海から地上に上がったときから、強い紫外線と闘いを続けてきました。
ヒトの祖先は体を守るため体毛に覆われていました。
体毛によって全身を覆われることで紫外線から身を守ることができました。
ところがヒトの祖先のライフスタイルの変化によって、この体毛が障害になってくることになります。
それは運動量の増加です。
食料を求めるため、移動距離や運動量を増やす必要が出てきます。
運動量が増えることにより体温が上昇するため、対策を迫られることになります。
100万年前、身を守る体毛を捨てることで汗をかく仕組みを確立する
保温効果、防御効果のある体毛を減らすことで、汗を効率よく冷却装置として使用することができるようになりました。
逆に体毛を失ったことで、肌は紫外線の影響を受けるようになります。
20万年前 肌を紫外線から守る革命 メラニン色素を生み出す
体毛を減らしたヒトの祖先は紫外線から身を守るため、肌を褐色にするメラニン色素による防御方法を生み出します。
これによりヒトの祖先は紫外線から身を守ることができるようになりました。
その後、ヒトの祖先は活動範囲を広げていきます。
ヒトの祖先の皮膚色の変化
紫外線はヒトにとって一概に有害ともいえません。体内でカルシウムを維持するために必要なビタミンDを生成するためには紫外線を適度に浴びる必要があります。
紫外線を体に取り込めないことは、生命にもかかわることです。
同じ地球上でも紫外線の多い少ないの違いがあります。
少ない地域のヒトがメラニンによって紫外線をカットしてしまうと生命にも影響します。
日光照射の少ない地域では、紫外線の影響を受けやすい肌に変化をしていくことにもつながっていきます。
この進化の過程が、紫外線に強い弱い、肌の色の起源と考えられています。
メラニンは本当に敵なのか
肌にとってプラスのメラニン
紫外線から肌を守ってくれる、天然のサンスクリーン。
美容にとってはメラニンは敵
肌のターンオーバー以上に生成されたメラニンはシミの原因となります。
ヒトによって違うメラニン生成量
同じメラニン色素といっても、ヒトが進化した場所によって種類や量が異なります。
日照時間の少ない地域のヒトは、肌が白くメラニン色素がもともと少ない性質を持っています。
一方、日照時間の多い、紫外線の多い地域のヒトはメラニン色素を多くもちます。
同じヒトでも、紫外線を浴びたときに肌が赤くなる、黒くなるタイプがありますが、これらはメラニン生成タイプによるものです。
太陽光線による肌への影響は
一般的に、太陽光線(紫外線や近赤外線)を受けすぎることで様々な悪影響が出ると考えられています。
皮膚がんの8割は光に晒される部位との相関
皮膚がんがその1つに挙げられます。
皮膚がんの8割は顔やうなじ、耳、手の甲など、光に晒されている部位との関係が強くあります。
皮膚がんは、紫外線によって壊されれた細胞を修復するときにがん化すると考えられており、太陽光を長時間浴びること(紫外線を多く浴びること)が、皮膚がんへつながる可能性を高めているとも言えます。
太陽光を浴びることが見た目の老化を加速する
適度な太陽光の照射は体にとって不可欠なのですが、浴びすぎると見た目の老化を促進するという研究結果があります。
この老化の原因は近赤外線と考えられ、紫外線よりも波長が長いため、皮膚の奥まで到達するため、深いシワに影響を及ぼすと考えられています。
太陽光は適度に摂取する必要がある
紫外線を吸収しないことは体にとって良いことではありません。
しかし現代においては、適度以上に紫外線に晒されるリスクをコントロールすることが重要です。
日傘、肌を露出しない、日焼け止めクリームなどを用い、適切に太陽光線(特に紫外線)を防いでいく必要があります。