肌のターンオーバーという言葉を聞いたことがある方も多いと思います。
でも、ターンオーバーって何?
これは皮膚の細胞が新陳代謝を繰り返し、古い細胞が新しい細胞に置き換わるプロセスを指します。 この肌のターンオーバーが崩れてしまうと、様々な肌トラブルが起こる原因になります。
本記事では、肌のターンオーバーのメカニズム、影響する要因、促進方法、そしてトラブルが生じた場合の対処法について詳しく解説していきますね。
肌のターンオーバーのメカニズム
表皮の構造と役割
肌は主に表皮(ひょうひ)、真皮(しんぴ)、皮下組織(ひかそしき)の3つの層で構成されています。
ターンオーバーに関与するのは主に表皮です。表皮はさらに5つの層(基底層、有棘層、顆粒層、透明層、角質層)に分かれています。
- 基底層:表皮の最下層で、新しい細胞が生成される場所です。基底層で生成された細胞は、時間とともに上層へと移動します。
- 有棘層(ゆうきょくそう):基底層の上に位置し、細胞が互いに連結している層です。ここで細胞は角化の準備を始めます。
- 顆粒層:さらに上にある層で、細胞が平たくなり、角質層になるための準備を進めます。
- 透明層(手のひらと足裏のみ):手のひらや足の裏など、特に厚い皮膚に見られる層です。
- 角質層:最も外側の層で、死んだ細胞が重なり合ってバリア機能を果たします。ここでの細胞は最終的に剥がれ落ちます。
ターンオーバーのサイクル
通常、健康な肌のターンオーバーサイクルは約4週間(約28日間)で起こるといわれています。
この期間内にまず、基底層にある「基底細胞」が分裂して新しい細胞が作られ、この細胞が上層へと移動し角質層に押し上げられるまでに約2週間かかります。
その後、細胞が角質層にとどまって皮膚を保護するのに約2週間、合計で約4週間かかり、そして最終的に垢や古い角質として角質層から剥がれ落ちます。
このサイクルをターンオーバーと言います。
しかし、年齢や生活習慣や環境要因により、このサイクルは変動します。
また、皮膚の厚さなども関係しており、顔はほかの部位より早く、健康的な肌の理想が約4週間ですが、ほかの部位になると周期が変わります。
たとえば、手のひら、足の裏ではターンオーバーに約45日程かかります。
ターンオーバーの重要性
ターンオーバーは肌の健康を維持するために不可欠です。
正常なターンオーバーが行われていると、肌は柔軟で滑らかになります。 また、古い角質が適切に除去されることで、毛穴の詰まりやニキビ、くすみの予防にもつながります。
不規則な生活やストレス、睡眠不足はターンオーバーに悪影響を及ぼします。 特に睡眠中に成長ホルモンが分泌されるため、質の良い睡眠は重要です。
ターンオーバーが乱れるとどうなるの?
ターンオーバーとは、簡単にいうと基底層で新しい皮膚が生まれて、古くなった皮膚がはがれ落ちるサイクルのことで、肌の新陳代謝とも呼ばれます。
このように一定のサイクルで細胞が生まれ変わっている私たちの肌。
このターンオーバーのサイクルが乱れると、肌荒れやニキビ、吹き出物など肌トラブルの原因になります。
ターンオーバーが速すぎたり遅すぎたりするとどうなるの?
ターンオーバーの速度は速過ぎても遅過ぎても、美しく健やかな肌を目指せません。
ターンオーバーが速すぎると細胞が未成熟のため、乾燥肌や敏感肌になり、逆に遅すぎると肌がくすんで見えたり、シミなどの色素沈着の原因に。
また、肌が乾燥すると肌内部を守ろうとする働きからターンオーバーのスピードを速め、角質細胞を急いで作ろうとしてしまいます。
急いで作られた細胞は未熟なため、うるおいを保つ保水機能が十分ではありません。
これは、肌の「透明感」や「ハリ」にも影響を及ぼします。
肌の透明感は角層細胞の状態が大きく影響します。 それは、皮膚の内部へ光が透過しやすいことで生まれるのが「透明感」のため。
肌のハリも、角質層の水分量が十分整っていることで弾力性のある肌を指す「ハリ」が実現するからなのです。
ターンオーバーが速すぎる場合
まず基底層にある新しい細胞が分裂して作られた「基底細胞」から、成熟に伴って形状や構造が変わっていくなかで「角層細胞」と呼ばれるようになります。
この細胞の成長の過程で乾燥や紫外線によるダメージなどがあると、皮膚は内部の組織を守るためにターンオーバーを加速させようとします。
そのように、適度な時間をかけずに急いで合成された角層細胞は、形状も不揃いで必要な機能を発揮するための構造も十分ではありません。
細胞が十分に成熟する前に角質層に達してしまうことにより、角質層が未熟で不完全な状態となり、肌のバリア機能が低下します。
未熟な角質層は、保湿機能が不十分であるため、肌が乾燥しやすい状態に。 また、バリア機能の低下により、外部の刺激に対して敏感になり、敏感肌やかゆみ、赤みなどの原因にもなります。
ターンオーバーが遅すぎる場合
ターンオーバーが遅くなる要因としては代表的なものが加齢です。
年齢を重ねるとともに細胞の新陳代謝が低下し、ターンオーバーのサイクルが遅くなります。 20代では約28日間だったサイクルが、40代では45日以上かかることもあります。
特に更年期にはエストロゲンの分泌が減少し、ホルモンバランスの乱れからターンオーバーが遅くなることがあります。
ターンオーバーが遅くなることで古くなった細胞がそのまま表皮に蓄積し続けると、メラニンを含む角層細胞も積み重なっていきます。
それによってシミやニキビ跡が目立ちやすい肌に。
ターンオーバーの乱れに影響する要因
では、ターンオーバーのサイクルに影響する要因とは何なのでしょうか?
年齢
加齢によりターンオーバーのサイクルは遅くなります。
若い肌では約28日間ですが、40歳を過ぎると45日以上かかることもあります。これはシミやシワ、乾燥肌の原因となってしまいます。
生活習慣
様々な要因がありますが、特に日々の生活習慣やライフスタイルと関連付けされる出来事が多いです。
他にも下記のような要因があげられます。
- 睡眠不足
- 疲労
- ストレス
- 食生活の乱れ
- タバコ
- 過度な飲酒
- 無理なダイエット
- 運動不足
- 便秘
- 冷え性
- 乾燥
- 間違ったスキンケア
これらの原因によって、肌のターンオーバーのサイクルが乱れると、皮膚のキメが乱れたり、肌を守るバリア機能が低下することで、肌荒れにつながります。
栄養
栄養バランスが偏った食事をしていると、肌まで栄養が行き渡らないため肌の新陳代謝も悪くなります。
環境
紫外線や乾燥、大気汚染などの外部からの肌へのダメージも、必要な角質層を剥がしてしまい、ターンオーバーのサイクルを無理に早めてしまうことがあります。
紫外線はDNAを損傷し、ターンオーバーを遅らせる原因となります。
これを見直して!ターンオーバーを改善する方法
ターンオーバーが乱れる要因とその影響についてはわかったので、ここからは改善するための方法について押さえていきましょう。
生活習慣
睡眠不足の改善
毎晩7-8時間の質の良い睡眠を確保し、成長ホルモンの分泌を促しましょう。
まず睡眠の妨げになるのが、寝る前にスマートフォンやパソコンなどの画面を見ること。 これは、交感神経を刺激して睡眠を妨げる原因になります。
逆に副交感神経を優位にするとリラックスして眠りにつけます。
副交感神経を優位にするには、寝る1時間から2時間前の入浴で身体の表面を温めておくこと。 ゆっくりとストレッチをすることも効果的です。
適度な運動
運動不足により、筋肉量の低下すると血流が悪くなり、栄養素の供給力が低下します。
適度な運動は血行を促進し、新陳代謝を活発にします。 週に数回の有酸素運動や筋トレを取り入れましょう。
体を動かすことはストレス解消にも繋がります。
ストレスはホルモンバランスを乱し、ターンオーバーに悪影響を与えます。 リラクゼーション方法(例:瞑想、ヨガ、趣味など)を取り入れて、ストレスを軽減しましょう。
栄養バランスの取れた食事
栄養バランスの取れた食事は、健康な肌のターンオーバーを促進します。
便秘もターンオーバーに影響します。便秘の解消には、食物繊維をしっかり摂りましょう。
体を作る肉、魚、豆類(豆腐や納豆)などのタンパク質はもちろん、肌を健やかに保つビタミンB2、B6、ビタミンA、C、E(例:にんじん、オレンジ、アーモンドなど)は肌の再生に役立ちます。
ビタミンB2
肌を健やかに保ち、皮脂の分泌量を調整してくれる。
- 肉類、魚介類
- レバー、うなぎ、納豆、海苔など
ビタミンB6
皮膚の新陳代謝である「ターンオーバー」を促す作用、皮脂の量を調節する作用がある。
- 脂身の少ない肉類、魚介類
- レバー、ささみ、マグロ、バナナ、ブロッコリー、玄米、芋類など
ビタミンA
油に溶けやすい性質を持つ脂溶性ビタミンの1種。
皮膚や粘膜を健全な状態に保ちます。
- レバー、ウナギ、バター、鶏卵など
- レチノールやβカロテンを多く含む食品(にんじん、ほうれん草など)
ビタミンC
水溶性ビタミンの1種。
骨や腱などの結合タンパク質であるコラーゲンの生成に必須の化合物。
- 果物類(オレンジ、キウイなど)
- 野菜類(キャベツ、ブロッコリーなど)
- いも及びでん粉類
ビタミンE
強い抗酸化作用を持つ脂溶性のビタミン。
体内の脂質の酸化を防ぎ、血行促進、外敵刺激から肌を守るバリア機能を安定させる、細胞膜を健全に保つなどの働きがあります。
- オリーブオイルなどの良質な油
- ナッツ類(大豆、アーモンドなど)
- 卵
サプリメントをうまく取り入れていくこともいいですが、まずはバランスの良い食事を心がけましょう。
環境対策
紫外線対策
強い紫外線(UVB)では日焼けによる炎症(火傷)を引き起こして細胞に損傷を与え、日常的な紫外線(UVA)は長時間の照射で真皮の細胞が損傷すると言われています。
適宜、日焼け止めを塗る、帽子をかぶるなどの紫外線対策をしましょう。
紫外線対策については、こちらの記事も参考にしてみてください。
https://handcare.catalyct.com/%e3%81%9d%e3%82%8d%e3%81%9d%e3%82%8d%e3%81%97%e3%81%a3%e3%81%8b%e3%82%8a%e7%b4%ab%e5%a4%96%e7%b7%9a%e5%af%be%e7%ad%96%ef%bc%81%e7%b4%ab%e5%a4%96%e7%b7%9a%e3%81%af%e8%82%8c%e3%81%ae%e8%80%81%e5%8c%96/
正しいスキンケア
まずは、乾燥対策に保湿をしっかりとしましょう。
古い角質が積み重なると、肌の保湿機能が低下し、乾燥肌になります。
乾燥は角質層のバリア機能を低下させ、外部刺激に対して敏感になる原因に。
また、肌の摩擦や過度な角質の除去をするなどの間違ったスキンケアをすると、角質層が厚くなるなど、角質細胞のはがれ落ちるタイミングが乱れる要因につながります。
ターンオーバーが遅れると、古い角質が毛穴に詰まりやすくなるので、日々のクレンジングや洗顔をして肌の汚れを落とすことが大切。 定期的に角質ケアなども取り入れるのもひとつです。
- クレンジングや洗顔でしっかりと汚れを落とす。
- 洗顔やスキンケアの時に肌を擦らない。
- 洗顔後、すばやく保湿をする。
- 紫外線対策に日焼け止めを塗る。
- 定期的な角質ケアをする。
まとめ
- 肌のターンオーバーとは、主に5つの層からできている表皮の新陳代謝のサイクルのこと。
- ターンオーバーのサイクルが乱れると、肌荒れやニキビ、吹き出物など肌トラブルの原因になる。
- ターンオーバーは速くても遅くてもだめ。速いと細胞が未成熟で乾燥肌になってしまい、遅くてもシミやくすみの原因に。
- 改善するには、生活習慣(睡眠時間の確保、ストレス解消)、栄養バランスの取れた食事、紫外線対策、正しいスキンケアを心がける。
当たり前のことのようですが、難しい場面もありますよね。
自分ができることから少しずつ始めてみましょう。