妊娠中・授乳中のスキンケアはこれで安心!
専門家が選ぶ「OK成分」と肌トラブル対策
はじめに:なぜ妊娠・授乳中はスキンケアに悩むのか
妊娠中や授乳期は、女性ホルモンの急激な変化により、肌が非常にデリケートになる時期です。
「今まで使っていた化粧品が合わなくなった」「急にシミが濃くなった」「大人ニキビが治らない」といった肌トラブルに悩まされる方は少なくありません。さらに、「使っている化粧品の成分が赤ちゃんに影響しないか」という不安から、スキンケア自体を控えてしまう方もいます。
しかし、この時期こそ適切なケアが重要です。妊娠・授乳中でも安心して使え、かつ効果が期待できるスキンケア成分と、肌トラブル別の具体的な対処法を解説します。
専門家が推奨する妊娠中の肌トラブル別ケア成分
この時期に特に多く聞かれる「シミ・肝斑」「ニキビ・吹き出物」といった症状について、安全性が高く、確かなエビデンスに基づいた有効成分をご紹介します。
濃くなる「シミ・肝斑」対策:攻めの美白ケア
妊娠中は、女性ホルモンの影響でメラニンを生成する細胞が活性化し、特に肝斑が悪化しやすい傾向があります。レーザー治療などが難しい時期だからこそ、安全なホームケアを取り入れましょう。
炎症を引き起こす「プラスミン」の働きを抑えることで、メラニン生成の指令をブロックします。特にホルモンバランスの乱れによる肝斑の改善に高い効果が期待できます。
シミの原因となるメラニンが肌表面に運ばれる経路を阻害(メラノソーム輸送阻害)し、色素沈着を防ぎます。
メラニン生成酵素であるチロシナーゼの働きを抑制し、メラニンの過剰な生成を抑えます。また、抗炎症作用も併せ持ちます。
治りにくい「ニキビ・吹き出物」対策
ホルモン変化による皮脂の過剰分泌やターンオーバーの乱れでニキビができやすい状態です。
ニキビの原因となるアクネ菌の増殖を抑える抗菌作用と、毛穴の詰まりを防ぐ角化異常の改善作用を併せ持ちます。
優れた抗炎症作用を持ち、赤く腫れたニキビの炎症を鎮めます。
5%以上の高濃度で皮脂腺に作用し、過剰な皮脂の分泌を抑制する効果が期待できます。ニキビ予防と毛穴ケアに有効です。
慎重に検討すべき成分と安全な代替案
妊娠中のスキンケアでよく懸念される成分について、正しい情報と代替となる安全な成分を知っておきましょう。
1. ハイドロキノン(美白)
「塗ると危険」
外用(塗布)で胎児に影響が出るという明確なエビデンスはほとんどありません。しかし、ハイドロキノンは元々刺激性が高いため、ホルモンバランスで肌が敏感になっている時期に新たに使い始めると、かぶれや赤みが出るリスクが高いです。
刺激による皮膚炎が起こると、妊娠中に使用できる治療薬が制限されるため、妊娠中は使用を控え、上記で挙げたトラネキサム酸やナイアシンアミドに切り替えるのが賢明です。
2. レチノール(ビタミンA誘導体/シワ改善)
「ビタミンAは全て危険」
ビタミンAの内服薬は胎児への影響が懸念されますが、化粧品に含まれる低濃度の外用レチノールで胎児に影響が出たという報告は極めて稀です。しかし、少しでも不安がある場合は、専門家としては使用を中断することを推奨します。
かんたんなチェックポイント
妊娠中のスキンケアで最も大切なこと
最も大切なのは、「肌のバリア機能の維持」と「紫外線対策」です。
ホルモン変化で肌が不安定な時期には、セラミドやヘパリン類似物質など、肌の土台を整える成分を使い、保湿を徹底してください。
妊娠中のシミ・肝斑の悪化は、紫外線が引き金になります。最も安全で効果的な対策は、日焼け止め(SPF30以上、PA+++以上推奨)の塗布と帽子・日傘による遮光です。
不安になった時のチェックリスト
市販されている化粧品は、基本的には安全性が高く設計されています。「アルコールや香料はダメ」といった情報に過度に惑わされる必要はありませんが、特に妊娠中に新しい製品を試す際は、必ず以下の点をチェックしてください。


